マクロ経済政策の論争
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Oiyo Contributor
第14章:マクロ経済政策の論争
政府が経済に介入して不況を防ぎ成長を誘導すべきだというケインズ主義と、市場に任せるのが最善だという古典派の流れの論争は、今日でも続いています。
1. ルール vs 裁量 (Rule vs Discretion)
- 裁量的政策: 経済状況に応じて、政府や中央銀行が柔軟に政策を決定する方式です。(ケインズ学派)
- ルールによる政策: 事前に定められた規則(例:通貨供給量を毎年3%ずつ増やす)に従って一貫して政策を展開する方式です。(マネタリスト学派)
タイムラグ(時差)の問題: 政策を決定するまでにかかる時間(内部時差)と、政策が効果を発揮するまでにかかる時間(外部時差)があるため、裁量的政策がかえって景気をさらに不安定にする可能性があります。
2. ルーカス批判 (Lucas Critique)
- ロバート・ルーカスは、「政府の政策が変われば経済主体の期待や行動も変わるため、過去のデータに基づいた政策効果の分析は誤りうる」と批判しました。
- つまり、人々が政府の意図を察知して対応するため、政策が予想通りの効果を上げられない可能性があります。
3. リカードの等価定理 (Ricardian Equivalence)
- 政府が減税の代わりに国債を発行して支出を増やしても、消費者は将来の増税を予想して消費を増やす代わりに貯蓄を増やすという理論です。
- 結果として、 財政政策が総需要を増やす効果はない という結論に達します。
4. 合理的期待 (Rational Expectations)
- 人々が未来を予測する際、過去だけでなく、政府の政策の方向性など 利用可能なすべての情報を活用する という仮説です。
- 合理的期待のもとでは、政府の予想された政策は民間によって相殺され、実体経済(所得、失業)に影響を与えず、物価のみが変化することになります(政策無効性命題)。
核心チェックリスト
- 減税が将来の増税を意味するため、消費に影響を与えないという理論は?(正答:リカードの等価定理)
- 過去の統計データのみで政策効果を予測することは危険だという指摘は?(正答:ルーカス批判)
- 政府が状況に応じて臨機応変に政策を行うことを何と呼びますか?(正答:裁量的政策)
- 「政府の政策は物価のみを変化させ、実質所得には影響を与えない」という結論を導く仮説は?(正答:合理的期待仮説)