古典派 vs ケインズ学派
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Oiyo Contributor
第9章:古典派 vs ケインズ学派
現代のマクロ経済学は、市場の自律的な回復力を信じる古典派と、政府の積極的な介入を強調するケインズ学派の論争を通じて発展してきました。
1. 古典派 (Classical School)
アダム・スミスの「見えざる手」の論理を拡張し、市場は常に自ら均衡を見つけると信じる学派です。
- 核心的論理 (セイの法則): 「供給はそれ自身の需要を創造する」。つまり、生産が行われればそれだけの所得が発生し、物が買われるため、過剰生産は発生しないという論理です。
- 特徴:
- 価格の完全な伸縮性: 価格、賃金、利子率が非常に伸縮的であるため、不均衡が発生しても即座に解消されます。
- 需要より供給を重視: 生産能力が経済成長の鍵です。
- 政府の役割: 夜警国家(小さな政府)。政府は市場に介入すべきではないと考えます。
2. ケインズ学派 (Keynesian School)
1930年代の大恐慌が古典派理論で説明できなかった際、ジョン・メイナード・ケインズが提示した新しい視点です。
- 核心的論理 (有効需要の原理): 「需要は供給を創造する」。経済の総生産量は、物を買おうとする意欲である「有効需要」によって決定されます。
- 特徴:
- 価格の下方硬直性: 特に賃金や価格は、容易には下がりません (Sticky)。そのため、不況時に市場が自ら回復するのには時間がかかりすぎます。
- 供給より需要を重視: 不況の原因は需要不足です。
- 政府の役割: 積極的な政府介入(大きな政府)。政府支出を増やして需要を創出すべきだと考えます。
3. 要約比較
| 区分 | 古典派 | ケインズ学派 |
|---|---|---|
| 主眼点 | 供給(長期分析) | 需要(短期分析) |
| 価格 | 完全に伸縮的 | 硬直的(特に下方) |
| 均衡 | 常にフル雇用状態(自然的) | 非自発的失業の可能性 |
| 政府 | 自由放任 (Laissez-faire) | 積極的な市場介入 |
4. 現代の視点:補完的な関係
現代の経済学では、短期的にはケインズの主張が、長期的には古典派の主張が妥当であると見る傾向があります。
大恐慌の教訓: 市場が完璧でない場合があり、時には政府の適切な財政・金融政策が経済を危機から救えるということを示しました。
核心チェックリスト
- 「供給は自ら需要を創造する」という言葉で要約される法則は?(正答:セイの法則)
- ケインズが主張した、賃金が低い水準になかなか下がらない現象を何と呼びますか?(正答:価格の下方硬直性)
- 大恐慌のような深刻な景気不況の原因を、ケインズは何の不足だと考えましたか?(正答:有効需要)
- 長期的な経済成長を重視するのは古典派・ケインズ学派のどちらですか?(正答:古典派)