中級会計 III:資本と一株当たり利益
O
Oiyo Contributor
Chapter 6. 中級会計 III:資本と一株当たり利益”
資本は、負債をすべて返済した後に残る「真の株主の持ち分」です。しかし、その構成は資産や負債よりもはるかに複雑な場合が多いです。今日は、資本の精緻な分類と 利益の配分 について学習します。
1. 資本の構成 (Equity Structure)
資本は企業の資産からすべての負債を引いた「純資産」です。会計的には、その源泉によって以下のように厳格に分類されます。
| 項目 | 説明 | 特徴 |
|---|---|---|
| 資本金 | 払込資本のうちの額面金額 | 株主比率決定の基準 |
| 資本剰余金 | 額面超過発行金額 | 配当不可(資本組み入れ可能) |
| 資本調整 | 加減の性格を持つ一時的な勘定 | 自己株式、株式割引発行差金など |
| その他の包括損益累計額 | 未実現の保有損益 | 再評価剰余金、金融資産評価損益 |
| 利益剰余金 | 蓄積された純利益の総和 | 配当の財源。企業の健全性の尺度 |
2. 自己株式 (Treasury Stock) と資本調整
企業が自社の株式を買い戻す行為は、資産の取得ではなく 「資本の払い戻し」 とみなされます。
| 区分 | 会計処理 | 影響 |
|---|---|---|
| 自己株式の取得 | 資本調整(減算勘定) | 資本合計の減少 ↓ |
| 自己株式の処分 | 資本剰余金または資本調整 | 資本の増加または減少 |
| 自己株式の消却 | 資本金の減少(減資) | 発行済株式数の減少 ↑ EPSの上昇 |
3. 一株当たり利益 (EPS, Earnings Per Share)
投資家が企業の収益性を判断する上で最も核心的な指標です。
| 区分 | 計算対象 | 意味 |
|---|---|---|
| 基本一株当たり利益 | 流通している普通株式 | 現在の株主の実質的な持ち分 |
| 希薄化後一株当たり利益 | 潜在的普通株を含む | 転換権行使時に発生しうる「最悪のEPS」 |
EPS の罠: 純利益が増えなくても、自己株式を消却して株式数を減らせば EPS は上昇します。数字の裏にある 「収益の質」 を別途分析する必要があります。
これで財務会計の各論を修了しました。次章では、収益認識の新しいモデルと複合金融商品について扱います。