金融経済学 — 期待効用・リスク・プレミアム・確率的割引因子
金融経済学 — リスクのあるキャッシュフローは、期待値が同じでも価格が違う
第1章の状態価格を確率で割ると、確率的割引因子(SDF)になる。この章では、その値がなぜ不況で大きくなるのか、そして企業財務で使うCAPMがどの仮定のもとでの特殊ケースなのかを見る。
1. 限界効用の高い状態の1ウォンのほうが高い
代表的消費者がいて、効用が時間について分離可能だとする。今日の消費を1ウォン減らして状態で1ウォン多く得る対価は、限界効用の比率である。
資産価格は、キャッシュフローとの積の期待値である。
期待収益率で書き直すと、である。市場と一緒に動く資産はと負の共分散を持つので、リスク・プレミアムは正である。価格に入るリスクは「分散が大きい」ことではなく、「悪い状態で損失が出る」ことである。
2. 数字で見ると、保険は株式より高い
無リスク金利を2%、好況・不況の確率をそれぞれ50%とする。好況では、不況ではである。平均はなので、で無リスク金利と合う。
株式は好況で140ウォン、不況で70ウォンを支払う。価格はウォンである。期待キャッシュフローは105ウォンだが、価格はそれより低い。保険金は好況で0ウォン、不況で100ウォンである。価格はウォンで、期待キャッシュフロー50ウォンより高い。同じ期待値50ウォンでも、不況に集中していればプレミアムを払って買う。
| 測定 | 捉えるもの | 抜け落ちるもの |
|---|---|---|
| 分散・標準偏差 | 変動の大きさ | どの状態で変動するか |
| 市場ベータ | 市場と一緒に動く程度 | 市場の外にある所得のリスク |
| SDFとの共分散 | 限界効用の高い状態での損失 | 選好や完備市場の仮定が誤っているとき |
3. CAPMは、SDFが市場収益率の線形であるときに出てくる
平均・分散の選好を持つか、収益率が正規分布に従うなら、選択は平均と分散だけで決まる。そのときSDFは市場ポートフォリオの収益率の線形になり、リスク・プレミアムはベータに比例する。
企業実務でのCAPMの使い方は企業財務第4章にある。ここで重要な限界は三つある。市場ポートフォリオは観測できない。消費のリスクと市場収益率は異なりうる。労働所得や住宅のように取引されないリスクは、ベータの外に残る。
確認問題
市場と逆に動く資産の期待収益率は、無リスク金利より高いか。高くない。消費が少ない状態で利得を生むのでSDFと正の共分散を持ち、リスク・プレミアムが負になって、期待収益率は無リスク金利より低い。第2節の保険は53ウォンで買って平均50ウォンを受け取るので、期待収益率は約−5.7%である。
参考資料
- John Cochrane, Asset Pricing, ch. 1
- Rajnish Mehra and Edward Prescott, “The Equity Premium: A Puzzle,” Journal of Monetary Economics (1985)
- MIT OpenCourseWare, 15.401 Finance Theory
Oiyo
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