金融経済学 — 金融仲介・情報の非対称性・信用割当
金融経済学 — 銀行は仲介者ではなく、情報と流動性を生み出す企業である
家計が企業の証券に直接投資すれば金融機関はいらない、というモデルがある。現実に銀行・ファンド・保険が残るのは、満期変換、委任されたモニタリング、決済、そして借り手と貸し手の情報の差があるからである。
1. 直接金融がすべてのリスクを移転できるわけではない
完備市場なら、状態条件付き請求権でリスクを分けられる。借り手の努力を契約書にすべて書けず、不良の検証に費用がかかるなら、その市場は不完備である。ダイアモンドの委任モニタリング・モデルでは、多数の債権者がそれぞれ監視するより、一つの銀行が監視し、預金者が銀行を監視するほうが安い。
| 変換 | 例 | 残るリスク |
|---|---|---|
| 満期 | 短期預金→長期貸出 | 引き出しの集中、借り換えの停止 |
| 規模 | 小口預金→大口融資 | 一人の借り手への偏り |
| リスク | 分散された貸出ポートフォリオ | 共通ショック、相関した不良 |
| 情報 | 審査・事後モニタリング | 隠れたタイプ・隠れた行動 |
満期変換はそれ自体が流動性保険である。同時に、取り付けの材料でもある。その増幅は第5章の金融危機で扱う。
2. 金利を上げると、借り手の平均的な質が下がることがある
スティグリッツ=ワイスの信用割当の核心は、金利が価格であると同時に選別装置でもあるという点である。金利を上げると安全な借り手は抜け、リスクの高いプロジェクトだけが残る。銀行の期待収益は金利について単調に増加しない。
安全なタイプは成功確率90%、成功時の回収120ウォン、失敗時0ウォンである。リスクの高いタイプは成功確率50%、成功時200ウォンである。期待キャッシュフローはそれぞれ108ウォンと100ウォンである。元本100ウォンに金利20%なら、返済額は120ウォンである。
- 安全なタイプの期待利益: — 借りる誘因がなくなる
- リスクの高いタイプの期待利益:ウォン — それでも借りる
銀行がタイプを見分けられなければ、利上げはポートフォリオをリスクの高いタイプで満たす。二つのタイプが半々なら、金利10%(返済110ウォン)では両方が借りるので、貸出1件あたりの銀行の期待回収はウォンである。20%に上げるとリスクの高いタイプだけが残り、ウォンに減る。金利を上げるより、10%で貸出を割り当てるほうがよい。
担保、自己資本の参加、リレーションシップ・バンキングは、この選別の失敗を減らそうとする契約である。担保のない借り手の市場では、金利だけによる均衡が存在しないことがある。
3. モラルハザードは融資後の行動の変化である
逆選択が隠れたタイプなら、モラルハザードは隠れた行動である。レバレッジが高まると、株主は上方の利益を取り、下方の損失を債権者や預金保険に回す。自己資本規制と財務制限条項(コベナンツ)は、そのオプションの価値を減らそうとする装置である。
確認問題
銀行が金利を10%から25%に上げたら、延滞率も一緒に上がった。これは需要曲線上の移動だけで説明できるか。利上げが借り手の構成を変えたのなら、貸し手の期待収益の曲線が折れ曲がったのであり、割当が均衡でありうる。
参考資料
- Joseph Stiglitz and Andrew Weiss, “Credit Rationing in Markets with Imperfect Information,” American Economic Review (1981)
- Douglas Diamond, “Financial Intermediation and Delegated Monitoring,” Review of Economic Studies (1984)
- 韓国銀行、金融安定報告書(韓国語)
Oiyo
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