経済学•第4章•約2分•最終更新 2026年9月24日

財政学 — 所得税・法人税:労働・貯蓄・投資への効果

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OIYO編集部寄稿者
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財政学 — 所得税は労働・貯蓄・投資の価格を変える

第2章の部分均衡分析を最も大きな税目に当てはめる。所得税は、余暇に対する労働の価格(税引後賃金)と、現在に対する将来の消費の価格(税引後利子率)を変える。法人税は、投資の資本コストと資金調達の方式を変える。それぞれが行動をどれだけ変えるかが、超過負担と税収の大きさを決める。

1. 労働供給:方向は理論ではなくデータが決める

時給1万ウォンに税率20%を課すと、税引後の時給は8,000ウォンになる。この変化は二つの効果に分けられる。

  • 代替効果:余暇1時間の対価(諦める税引後所得)が安くなったので、余暇を増やし労働を減らす。
  • 所得効果:同じ時間働いても所得が減ったので、余暇を減らし労働を増やす(余暇が正常財の場合)。

二つの効果は方向が逆なので、税率の引き上げが労働供給を減らすか増やすかは理論だけでは決まらない。賃金の高い範囲で所得効果が大きくなれば、労働供給曲線が後ろに曲がることもある。

しかし超過負担を決めるのは補償された(ヒックスの)弾力性、つまり代替効果だけである。所得効果は税で持っていかれた所得分の反応なので、一括税でも同じように生じる。労働時間がまったく変わらなくても、代替効果が大きければ超過負担は大きい。「税を上げても人々は同じように働くので費用はない」という結論は、二つの効果が相殺された場合を誤解したものである。

労働供給の弾力性の実証のまとめ
集団・反応おおむねの結論
主たる稼ぎ手の労働時間弾力性は小さい
既婚女性・第二の稼ぎ手の参加の有無弾力性は相対的に大きい
高所得者の課税所得(申告所得)労働よりも所得の時期・形態の調整で反応する

2. 課税所得の弾力性と税収最大化税率

現代の研究は、労働時間より課税所得が税率にどれだけ反応するかを見る。課税所得には、労働だけでなく報酬形態の変更、控除の活用、所得を移す時期の調整まですべてが含まれる。課税所得が税引後の所得割合(1−t)(1-t)に対して弾力性eeをもつとしよう。

課税所得と税収
z(t)=z0(1−t)e,R(t)=t z0(1−t)ez(t) = z_0 (1-t)^{e},\qquad R(t) = t\, z_0 (1-t)^{e}
税率を上げると税収は機械的に増え、課税所得が減ることで行動的に減る。二つの効果が等しくなるところが税収最大化税率t* = 1/(1+e)である。

e=0.25e=0.25ならt∗=1/1.25=80%t^*=1/1.25=80\%である。税率がこれより高ければ、税率の引き下げが税収を増やす。これがラッファー曲線の論理である。曲線そのものは論争の対象ではない。争点は現在の税率がt∗t^*のどちら側にあるかであり、実証文献の弾力性の推定値(おおむね0.1〜0.4の範囲)からみれば、ほとんどの国の所得税率は頂点より左側にある。

ラッファー曲線(e = 0.25)
t (%) 税収 80 R(t) t* = 80%

弾力性が大きいほど頂点は左に移る。e = 1ならt* = 50%である。

最高税率の区間では、最高所得層の分布の形も反映しなければならない。所得分布の裾が厚いほど(パレート係数aaが小さいほど)、税率引き上げが影響する所得は大きい。サエズの公式t∗=1/(1+a e)t^*=1/(1+a\,e)にa=1.5a=1.5、e=0.25e=0.25を入れると約73%である。この値は税収最大化の基準であり、最高所得者の厚生にどれだけのウェイトを置くかによって、最適税率はさらに低くなる。

3. 利子所得税と貯蓄

2期間モデルでは、今日1ウォンを貯蓄すれば明日1+r(1−t)1+r(1-t)ウォンを消費できる。利子率5%、利子所得税20%なら、税引後の収益率は4%である。利子所得税は将来の消費の価格を引き上げる。

ここでも、代替効果(将来の消費が高くなり貯蓄を減らす)と所得効果(目標とする老後資産を満たすには貯蓄を増やさなければならない)は逆方向である。貯蓄の利子率弾力性の実証値は小さく不確実である。一方、年金貯蓄の税制優遇のような貯蓄の形態への反応は大きい。税制優遇口座に既存の貯蓄を移すだけで総貯蓄は増えないかもしれない点を、常にあわせて見なければならない。

インフレがあると名目利子に税がかかり、実効税率が高くなる。名目利子率5%、物価上昇率3%、税率20%なら、税引後の名目収益率4%から物価を引いた実質収益率は1%である。税引前の実質収益率2%の半分を税が持っていくので、実質ベースの実効税率は50%である。

4. 法人税:誰が払い、何を変えるのか

法人税の課税標準は会計上の利益から出発するので、経済的利潤とは異なる。負債の利子は費用として控除されるが、株主に帰属する自己資本の機会費用は控除されない。そのため法人税は負債による調達を優遇する。過度の負債は倒産リスクを高めるので、一部の国は自己資本のコストも控除する制度(ACE)を導入した。

投資判断に影響するのは法定税率ではなく限界実効税率である。減価償却を早く認めれば(加速償却)税が後ろに繰り延べられ、実効税率は法定税率より低くなる。投資費用を直ちに全額控除すれば(即時償却)、限界的な投資への実効税率は0になり、超過利潤にだけ税が残る。

二重課税:法人が利益に法人税を払い、残りを配当すると、株主が再び配当所得税を払う。法人税率20%、配当所得税率15%なら、利益100ウォンのうち株主の手元に残るのは100×(1−0.2)×(1−0.15)=68100\times(1-0.2)\times(1-0.15)=68ウォンである。

配当利益の統合税率
t統合=tc+(1−tc) td=0.20+0.80×0.15=0.32t_{\text{統合}} = t_c + (1-t_c)\,t_d = 0.20 + 0.80\times 0.15 = 0.32
同じ100ウォンを利子として支払っていれば、法人段階で控除されて利子所得税だけがかかる。この差が負債バイアスのもう一つの源泉である。

配当控除(グロスアップ)は、法人段階で払った税の一部を株主段階で返して二重課税を緩和する仕組みである。

確認問題

課税所得の弾力性が0.5のとき、税収最大化税率は。t∗=1/(1+0.5)≈66.7%t^*=1/(1+0.5)\approx 66.7\%である。現在の税率が40%から45%に上がると、課税所得は(0.55/0.60)0.5≈0.957(0.55/0.60)^{0.5}\approx 0.957倍になり約4.3%減るが、税収は0.45×0.957/0.40≈1.0770.45\times 0.957/0.40\approx 1.077倍で約7.7%増える。頂点の左側にあるからである。

参考資料

  • Jonathan Gruber, Public Finance and Public Policy, ch. 21–24
  • Emmanuel Saez, Joel Slemrod and Seth Giertz, “The Elasticity of Taxable Income with Respect to Marginal Tax Rates,” Journal of Economic Literature (2012)
  • Peter Diamond and Emmanuel Saez, “The Case for a Progressive Tax,” Journal of Economic Perspectives (2011)
  • Harvey Rosen and Ted Gayer, Public Finance, ch. 16–18
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