国際貿易論 — 比較優位の数理的応用と交易条件
国際貿易論 — 比較優位を生産と消費の問題として解く
第1章と第2章では、比較優位の原理と貿易モデルを紹介した。この章では、生産時間のデータから相対価格の範囲と貿易の利益を計算する。要は絶対的な生産性ではなく、ある財を一つ多く作るときにあきらめる別の財の量である。
1. 単位労働投入量から機会費用を計算する
韓国はチップ1個に4時間、小麦1単位に2時間が必要で、オーストラリアはそれぞれ12時間と3時間が必要だとする。
| 国 | チップ1個の労働 | 小麦1単位の労働 | チップ1個の機会費用 |
|---|---|---|---|
| 韓国 | 4 | 2 | 小麦2 |
| オーストラリア | 12 | 3 | 小麦4 |
韓国は両方の財で絶対的な生産性が高いが、チップの機会費用のほうが低いので、チップに比較優位がある。オーストラリアは小麦の機会費用がチップ個で、韓国の個より低い。
2. 国際相対価格は二つの機会費用の間になければならない
チップ1個の国際価格が小麦3単位なら、韓国は国内で小麦2をあきらめてチップを作り、小麦3と交換する。チップ1個あたり小麦1を余分に得る。オーストラリアは国内でチップを作るなら小麦4をあきらめなければならないが、貿易なら小麦3を渡せばよいので、小麦1を節約する。
3. 貿易は消費可能集合を生産可能集合の外に広げる
韓国の労働が40時間なら、自給自足の生産可能線はである。チップに完全特化すれば10個を生産する。国際価格がチップ1個あたり小麦3なら、チップ4個を輸出して、チップ6個・小麦12を消費できる。この組み合わせには時間が必要なので、自給の生産可能集合の外にある。
これは生産可能集合の拡大ではなく、消費可能集合の拡大である。生産技術そのものがすぐに良くなったわけではない。
4. 相対賃金は生産性と貿易パターンとともに決まる
韓国の賃金を、オーストラリアの賃金をとする。チップの生産費はそれぞれと、小麦はとである。韓国がチップを、オーストラリアが小麦を生産するには、次の範囲が必要である。
多数財モデルでは、相対賃金が与えられると、生産性の優位が大きい財から一方の国が生産し、輸送費と非貿易財が境界を動かす。
5. 計算機が示さない条件
次の章では、二国間貿易の重力方程式と、中間財が国境を何度も越える付加価値輸出を計算する。
確認問題
国際価格がチップ1個あたり小麦4に上がり、範囲の境界に張りつくと、利益は誰に行くか。韓国は40時間でチップ10個を作り、4個を輸出して小麦16を得て、チップ6個・小麦16を消費する。この組み合わせには時間が必要なので、価格が3のとき(48時間)よりさらに外に出る。オーストラリアは小麦4を渡してチップ1個を買っても自分で作っても同じなので、貿易に無差別である。交易条件が一方の国の機会費用に近いほど、利益はもう一方の国に集まる。
参考資料
- MIT OpenCourseWare, 14.54 International Trade
- World Trade Organization, Trade data
- David Ricardo, On the Principles of Political Economy and Taxation
Oiyo
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