経済学•第4章•約2分•最終更新 2026年9月24日

行動経済学 — 現在バイアスと時間的非整合性

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OIYO編集部寄稿者
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行動経済学 — 今日の私と明日の私は違う計画を立てる

将来を割り引くこと自体は非合理的ではない。問題は割り引き方である。標準モデルの指数割引では、今日立てた計画を明日もそのまま守りたいと思う。実際の人々は、遠い将来については辛抱強く計画を立て、その将来が「今」になると計画をひっくり返す。

1. 指数割引は時間的に整合的である

指数割引
U0=u0+δu1+δ2u2+⋯U_0 = u_0 + \delta u_1 + \delta^2 u_2 + \cdots
どの二つの期間の間の割引率もδで同じである。今日見る「10日後vs11日後」と、10日後に見る「今日vs明日」の交換比率が同じなので、計画はひっくり返らない。

2. 準双曲割引と選好の逆転

レイブソンのβ-δモデルは、「今」と「後」の間に追加の割引β<1\beta<1を置く。

準双曲(β-δ)割引
U0=u0+β(δu1+δ2u2+⋯ )U_0 = u_0 + \beta\left(\delta u_1 + \delta^2 u_2 + \cdots\right)
β=1なら指数割引に戻る。実証の推定値は研究によって異なるが、βが1より小さいという方向は繰り返し確認されてきた。

β=0.7\beta=0.7、δ=1\delta=1(便宜上、長期の割引なし)の人に、次のことを尋ねる(金額は万ウォン単位)。

  • 1月1日に尋ねる:「3月1日に10万ウォン」vs「3月2日に11万ウォン」→ どちらも将来なので、どちらもβ\betaで割り引かれる。0.7×10=70.7\times 10 = 7 vs 0.7×11=7.70.7\times 11=7.7。11万ウォンを選ぶ。
  • 3月1日に改めて尋ねる:「今日10万ウォン」vs「明日11万ウォン」→ 今日の分は割り引かれない。1010 vs 0.7×11=7.70.7\times 11 = 7.7。10万ウォンを選ぶ。

同じ人が同じ二つの選択肢について、時点が変わっただけで選好をひっくり返した。これが時間的非整合性である。ダイエット、運動、貯蓄、締め切りのある仕事で「明日から」が繰り返される構造である。

β-δ割引の割引因子(β = 0.7、δ = 0.99)
期間 割引因子 指数(δ = 0.99) β-δ 今から次期への急落

β-δ割引は0期から1期に移るときだけ大きく下がり、その後は指数割引と同じ比率で減っていく。

3. ナイーブさと洗練

現在バイアスのある人が、将来の自分も現在バイアスをもつことを知っているかどうかで行動が変わる。

ナイーブな人と洗練された人
タイプ将来の自分についての信念行動
ナイーブ明日の自分は計画どおりにやるだろう先延ばしを続け、コミットメント手段を買わない
洗練された明日の自分も先延ばしするだろうコミットメント手段を買い、ときには前もって済ませてしまう

オドナヒューとラビンの例:4本の映画のうち1本を見に行かなければならず、後になるほどよい映画だが、1本しか見られない。ナイーブな人は「来週もっとよいのを見よう」を繰り返して、すべてを逃すかもしれない。洗練された人は将来の自分が先延ばしすることを知っているので、むしろ早く決める。

4. ジムの会員権:フィールドの証拠

デラヴィーニャとマルメンディア(2006)は、米国のジムの会員データから、月額会員が実際の来館回数で割ると1回当たり約17ドルを払っていたことを示した。10回券(1回10ドル)を買っていればもっと安かった。月額制を選ぶときには頻繁に通うと予想していたが、実際にはあまり通わなかった。将来の自己制御を過大評価するナイーブな現在バイアスと整合する証拠である。

5. コミットメント手段と貯蓄の設計

洗練された人は、将来の選択肢を自ら制限するコミットメント手段にお金を払う。途中引き出しが制限された貯蓄商品、目標を守れなければお金を失う契約、クリスマス積立がその例である。標準モデルでは選択肢を減らす契約にお金を払う理由はないので、コミットメント手段への需要そのものが現在バイアスの証拠である。

セイラーとベナルツィのSave More Tomorrow(SMarT)プログラムは、現在バイアスと損失回避をともに利用した。貯蓄率の引き上げを今ではなく、次の昇給のときから適用するよう前もって約束させた。

  • 将来の引き上げなので、現在バイアスが弱く働く(今は犠牲を払わない)。
  • 昇給分から差し引くので手取りが減らず、損失と感じられない。
  • いつでも脱退できるが、現状維持バイアス(第3章)のためにほとんどが残る。

最初に導入した企業では、参加者の平均貯蓄率が約40か月で3.5%から13.6%に上がった。

確認問題

β=0.8\beta=0.8、δ=1\delta=1の人が、今日費用6(運動のつらさ)を払い、明日便益7(健康)を得る選択をする。今日決めると。−6+0.8×7=−0.4<0-6+0.8\times 7=-0.4<0なので運動しない。昨日この計画を立てていれば、0.8×(−6+7)=0.8>00.8\times(-6+7)=0.8>0なので「明日運動しよう」と計画したはずである。計画は立てるが実行は先延ばしする構造である。

参考資料

  • David Laibson, “Golden Eggs and Hyperbolic Discounting,” Quarterly Journal of Economics (1997)
  • Ted O’Donoghue and Matthew Rabin, “Doing It Now or Later,” American Economic Review (1999)
  • Stefano DellaVigna and Ulrike Malmendier, “Paying Not to Go to the Gym,” American Economic Review (2006)
  • Richard Thaler and Shlomo Benartzi, “Save More Tomorrow,” Journal of Political Economy (2004)
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OIYO編集部

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