経済学•第6章•約1分•最終更新 2026年9月24日

行動経済学 — 心の会計とサンクコスト

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OIYO編集部寄稿者
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行動経済学 — お金に名札をつけると、同じお金が違う使われ方をする

標準モデルでは、お金は代替可能である。給料で受け取った10万ウォンと宝くじで当たった10万ウォン、食費口座の10万ウォンと旅行口座の10万ウォンは、同じ予算制約の一部である。セイラーは、人々がお金を出所・用途・時点によって別々の「勘定」に入れ、勘定ごとに違うルールで使うことを心の会計(メンタル・アカウンティング)と呼んだ。

1. 代替可能性が崩れる証拠

心の会計の痕跡
現象標準モデルの予測観察された行動
予算の仕切り食費が余れば他に使う食費の枠が埋まると、必要な食品も後回しにする
高金利の借金と低金利の預金の同時保有預金で借金を返す非常用の預金口座には手をつけない
臨時収入給料1ウォンと同じ限界消費性向ボーナスや税の還付はより簡単に使う
用途指定の現金現金は無条件の移転と同じ「教育費」という名札のついた支援金は教育により多く使われる

最後の行は、財政学第3章の現金・現物移転の比較とつながる。標準モデルでは、用途の名札がついただけの現金は一般の現金と同じ効果をもつはずだが、名札そのものが支出を変えるというフィールドの証拠がある。

2. 取引効用:安く買えたという喜び

セイラーは購買の価値を二つの部分に分けた。

獲得効用と取引効用
総効用=v(pˉ)−v(p)⏟獲得効用+v(p∗)−v(p)⏟取引効用\text{総効用} = \underbrace{v(\bar{p}) - v(p)}_{\text{獲得効用}} + \underbrace{v(p^{*}) - v(p)}_{\text{取引効用}}
pは支払価格、p̄はその物が自分にもたらす価値に相当する価格、p*は参照価格(この程度なら妥当だと期待する価格)である。

浜辺に寝そべっている人に、友人がビールを買ってきてあげるからいくらまで払うかと尋ねる。高級リゾートホテルで買ってくると言うと支払意思額の中央値は2.65ドル、近所の食料品店で買ってくると言うと1.50ドルだった(セイラー1985)。飲むビールも場所も同じなので、獲得効用は同じである。ホテルの参照価格のほうが高いので、同じ価格でも「ぼったくり」と感じにくい。

取引効用は、値引き販売や「定価の何%引き」という表示が強力な理由を説明する。必要のない物でも、取引効用が大きければ買う。

3. 快楽的編集:分けるか、まとめるか

第2章の価値関数の形を使うと、結果をまとめて見るか分けて見るかによって全体の価値が変わる。

  • 利得は分ける:利得の領域は凹なのでv(50)+v(50)>v(100)v(50)+v(50) > v(100)。贈り物は一度に渡すより、何回かに分けて渡すほうが喜びが大きい。
  • 損失はまとめる:損失の領域は凸なのでv(−100)>v(−50)+v(−50)v(-100) > v(-50)+v(-50)。何回も払う料金より、一度にまとめて払うほうが痛みが少ない。
  • 大きな損失の中の小さな利得は別に:大きな損失の中の小さな利得は、損失に混ぜるとほとんど感じられない。切り離して「慰め」として見れば価値が大きい(自動車購入後のキャッシュバック)。

第2章の推定値(α=0.88\alpha=0.88)で計算すると、v(50)+v(50)≈62.5v(50)+v(50)\approx 62.5、v(100)≈57.5v(100)\approx 57.5である。同じ100を2回に分けると、約9%うれしさが増す。

4. サンクコスト効果

すでに支出して取り戻せない費用は、今後の選択に影響を与えるべきではない。実際には、すでに払ったお金が大きいほど、その事業や物を使い続けようとする。

アークスとブルーマー(1985)は、大学の劇場のシーズンチケット購入者を無作為に、定価、13%割引、47%割引の集団に分けた。学期の前半には、定価で買った集団のほうが多く公演を観た。同じ公演、同じような人々が、すでに払ったお金が多いという理由だけで多く足を運んだのである。効果は学期の後半に向かって弱まった。

心の会計で見ると、チケットを買うと「公演勘定」に損失が記録される。公演を観ればその勘定が閉じて損失が相殺され、観なければ損失が確定する。第2章の損失回避と結びつけば、損失の確定を避けるために、価値の低い選択を続ける。企業や政府の失敗した大型事業が「これまでの投資がもったいない」という理由で続くのも、同じ構造である。

5. 所得目標と狭い期間

キャメラーら(1997)は、ニューヨークのタクシー運転手が、客が多く時間当たり収入の高い日に早く仕事を切り上げると報告した。標準的な労働供給モデル(賃金が高いときほど多く働く)とは逆である。1日の収入目標を参照点とし、目標に達したらやめるという解釈である。その後のファーバーらの再分析は、効果が小さいか一部の運転手に限られるという結果を示し、論争が続いている。

確認問題

10万ウォンの公演チケットを買ったが、当日大雨になった。公演を観る価値(移動の不便を差し引いた純価値)が6万ウォンなら、行くべきか。すでに払った10万ウォンは行っても行かなくても戻らないので、比べるのは「行って得る6万ウォン」と「行かずに得る0ウォン」である。純価値がプラスなので、行くのが正しい。純価値が−2万ウォンなら行くべきではなく、「10万ウォンがもったいないから」は理由にならない。

参考資料

  • Richard Thaler, “Mental Accounting and Consumer Choice,” Marketing Science (1985)
  • Richard Thaler, “Mental Accounting Matters,” Journal of Behavioral Decision Making (1999)
  • Hal Arkes and Catherine Blumer, “The Psychology of Sunk Cost,” Organizational Behavior and Human Decision Processes (1985)
  • Colin Camerer et al., “Labor Supply of New York City Cabdrivers: One Day at a Time,” Quarterly Journal of Economics (1997)
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OIYO編集部

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