管理会計 — 責任会計と業績評価:投資センターのROI・残余利益・EVA
会社が大きくなると、意思決定の権限を事業部に委ねる。権限を委ねれば、その結果を誰が責任を負うのかを決め、評価しなければならない。責任会計とは、組織を責任センターに分け、各センターが管理可能な項目で業績を測る仕組みである。予算は第4章、事業部間の内部取引の価格は第6章で扱う。
1. 責任センター
| 種類 | 責任を負うもの | 業績の測定 | 例 |
|---|---|---|---|
| コスト・センター | 原価 | 予算対比の原価、標準原価差異 | 生産部門、経理部 |
| レベニュー・センター | 売上高 | 売上目標の達成 | 営業支店 |
| プロフィット・センター | 収益と原価 | セグメント・マージン、貢献利益 | 製品事業部 |
| インベストメント・センター | 収益、原価、投資資産 | ROI、残余利益、EVA | 独立した事業部、子会社 |
管理可能性の原則に従い、管理者は自分が管理できる項目だけで評価する。本社が配賦した共通費や為替レートのように事業部長が影響を与えられない項目は、事業部長の評価から除く。事業部そのものの経済的成果を見るときには含めてよい。管理者の評価と事業部の評価は目的が違う。
2. 投資利益率(ROI)
事業部Xの売上高は1億ウォン、営業利益は1,000万ウォン、投資資産は5,000万ウォンである。売上高利益率10%、資産回転率2回、ROI 20%である。
3. ROIの部分最適化の問題
X事業部に、投資額1,000万ウォン、年間営業利益150万ウォン(ROI 15%)の新しいプロジェクトが提案された。会社の資本コスト(最低要求利益率)は12%である。
- 会社の立場:15% > 12%なので、価値を生むプロジェクトである。
- 事業部長の立場:プロジェクトを行うとROIがと20%から下がる。ROIで評価される事業部長は拒否しようとする。
事業部の利益と会社の利益が食い違うことを部分最適化という。ROIが高い事業部ほど会社に有益な投資を拒む誘因が大きく、古い(償却の進んだ)資産を新しい資産に替えようとしない誘因も生じる。
4. 残余利益とEVA
残余利益(RI)とは、営業利益から投資資産に対する最低要求利益を差し引いた金額である。
X事業部の現在のRIは万ウォンである。プロジェクトを加えると万ウォンに増える。要求利益率を超えるすべての投資がRIを増やすので、目標の一致が実現する。ただしRIは金額なので、規模の違う事業部を比べにくい。
経済的付加価値(EVA)は残余利益の一形態で、税引後営業利益から、投下資本に加重平均資本コスト(WACC)を掛けた金額を差し引く。研究開発費を資産化するなど、会計上の数字を経済的実質に合わせて調整するのが特徴である。
| 指標 | 長所 | 限界 |
|---|---|---|
| ROI | 比率なので規模の違う事業部を比較できる | 部分最適化、古い資産ほどROIが高く見える |
| 残余利益 | 要求利益率を超える投資を促す | 金額なので規模の影響を受ける |
| EVA | 資本コストと会計上の調整で経済的利益に近い | 調整項目が多く複雑、依然として短期指標 |
確認問題
事業部Yの営業利益は2,400万ウォン、投資資産は1億6,000万ウォン、要求利益率は10%である。投資額2,000万ウォン、年間営業利益260万ウォンのプロジェクトを加えると、ROIと残余利益はそれぞれどう変わるか。事業部長はどの指標で評価されるとき、このプロジェクトを受け入れるか。
現在のROIは15%、残余利益は万ウォンである。プロジェクトのROIは13%である。追加後のROIはに下がり、残余利益は万ウォンと60万ウォン増える。プロジェクトの利益率13%が要求利益率10%を超えるので、会社に有益である。残余利益で評価されれば受け入れ、ROIで評価されれば拒否する誘因がある。
参考資料
- Charles Horngren, Srikant Datar and Madhav Rajan, Cost Accounting: A Managerial Emphasis, ch. 23
- Ray Garrison, Eric Noreen and Peter Brewer, Managerial Accounting, ch. 11
- G. Bennett Stewart, The Quest for Value(EVA)
Oiyo
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