マクロ経済学 — 失業のストックとフロー
マクロ経済学 — 失業率はストックだが、原因はフローにある
第2章では失業率の分母を整理した。この章では、失業者数がどのように積み上がるかを見る。毎月多くの人が職を失い、同時に多くの人が職を見つける。失業率は、この二つの流れが釣り合うところで決まる。流れを見れば、同じ失業率の上昇でも原因が異なることがわかる。
1. 定常失業率
就業者のうち毎月の割合が職を失い(離職率)、失業者のうち毎月の割合が職を見つける(就職率)としよう。失業者数が変わらないためには、流入と流出が等しくなければならない:。労働力人口で割ると
就業者2,000万人、月間離職率2%なら、毎月40万人が失業者になる。失業者100万人が月40%の確率で職を見つければ、やはり毎月40万人が就職する。失業者は毎月数十万人ずつ入れ替わるが、総数は100万人に保たれる。
不況期には主にが下がる。同じ離職率2%で就職率が20%に下がれば、定常失業率はとほぼ2倍になる。平均失業期間()も2.5か月から5か月に延びる。
2. ベバリッジ曲線
企業の欠員(求人)と失業者は同時に存在する。両者の関係を描いたのがベバリッジ曲線である。
曲線に沿って右下に動けば需要不足(欠員が減り失業が増える)、曲線が外側に移れば欠員も失業も多いマッチング効率の低下である。
- 曲線上の移動:景気が悪くなると企業が採用を減らし、欠員が減って失業が増える。需要不足型の失業である。
- 曲線の移動:欠員も多いのに失業も多いなら、仕事と求職者が互いに合っていない。技能・地域・産業間のミスマッチが広がった構造的失業である。
3. 制度とフロー
| 制度 | s(離職率) | f(就職率) | 純効果 |
|---|---|---|---|
| 雇用保護の強化 | 下げる | 下げる(採用をためらう) | 失業率は不明確、失業期間は長くなる |
| 失業給付の引き上げ | — | 下げうる(求職の延長) | よりよいマッチングにつながることもある |
| 職業訓練・あっせん | — | 上げる | 構造的失業の減少 |
失業給付が求職期間を延ばすこと自体を悪いとみる必要はない。急いで合わない仕事に就く代わりに、より生産的なマッチングを見つけられるからである。効果の方向と大きさはデータで判断する。
4. 効率賃金と待機失業
企業が市場清算水準より高い賃金を払うこともある。高い賃金が離職を減らし、労働者の努力を引き出し、よい応募者を集めるからである(効率賃金)。この場合、賃金が下がらないので、均衡でも職を望む人が職の数より多い。失業が自発的に見えても、実際にはよい職を待つ行列である。
確認問題
月間離職率1.5%、就職率30%の経済の定常失業率は。である。不況で就職率が15%に下がればになる。離職率が3%と2倍になり就職率が30%のままなら、で同じ失業率になるが、この場合は失業期間が短く、出入りする人の多いまったく別の労働市場である。
参考資料
- Christopher Pissarides, Equilibrium Unemployment Theory (2000)
- Robert Shimer, “Reassessing the Ins and Outs of Unemployment,” Review of Economic Dynamics (2012)
- N. Gregory Mankiw, Macroeconomics, ch. 7
- 韓国統計庁、経済活動人口調査(韓国語)
Oiyo
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